2026年(令和8年)5月25日に、「事業性融資の推進等に関する法律」(事業性融資推進法)が施行されました。
事業性融資推進法は、「企業価値担保権」という新たな担保制度を創設し、①その設定方法、②公示方法、③既存担保権との優劣関係、④実行方法などの包括的な枠組みを定めています。
「企業価値担保権」は、事業全体を担保とする新たな担保権であり、会社の総財産(将来において会社の財産に属するものを含む)を一体として、担保の目的とすることができるものと定められています(7条)。
「企業価値担保権」は、信託契約のスキームを利用することとなっている点が特徴的です。
すなわち、債務者(担保設定者)を委託者、信託会社(内閣総理大臣の免許を受けた会社)を受託者(担保権者)、債権者を受益者とする、「企業価値担保権信託契約」を締結することにより設定されることとなっています(6条3項、8条)。
また、上記の受益者である債権者について、企業価値担保権付き融資における貸付債権などを念頭においた「特定被担保債権」を有する者と、一般債権者に対して一定額を留保することを念頭に置いた「不特定被担保債権」を有する者の2種類が指定されています(8条2項、166条)。
「企業価値担保権」の実行手続としては、担保権者である信託会社が裁判所に申立てをなし(61条、83条1項)、裁判所が事業経営等を担う管財人を選任することで進められます(109条1項、113条1項)。
管財人は、雇用の維持に配慮しつつ、スポンサーへの事業譲渡を実施し、事業譲渡の対価から、貸し手等の金融機関等の金銭債権(特定被担保担保債権)に充当し、一般債権者(不特定被担保債権)へも一部充当されます(166条)。
また、企業価値担保権の利用促進・支援を行う機関として、「認定事業性融資推進支援機関」制度を設け、金融機関及び中小企業者に対する支援を行うものと定められています(232条1項)。
なお、厚生労働省は、令和8年1月20日付で、「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」を改正し、企業価値担保権の実行手続において、労働者保護の観点から、管財人が行うべき事項等の項目を追加しています。
事業性融資推進法や企業価値担保権制度の概要については、以下の金融庁、厚生労働省のサイト等をご参照ください。
事業性融資の推進等に関する法律 説明資料・金融庁
(https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20240719/02.pdf)
企業価値担保権(旧:事業成長担保権)について・金融庁
(https://www.fsa.go.jp/policy/kigyoukachi-tanpo/index.html)
「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」の一部改正について・厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/saihen/68297_00001.html)
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